魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
その事態から発する幾万もの悲痛な嘆きや恐怖は……ヴェロニカが国中に張り巡らせた呪いの網を伝わり、かつてないほどに強化しただろう。そうなれば、次はどこかなどという話ではなく、国中で同じようなことが起きていた。帝国は無辜の民の屍で溢れ、それを糧としてまた更なる悲劇が生まれてゆく……。あの北の地はそんな帝国滅亡への先触れともなろう……彼女の計画の中でも、比較的重要な地点だった。
にもかかわらず、かの地の現状はどうか――。
瘴気は続々と取り払われ、そして呪いに蝕まれ死を待つだけだったスレイバートは健在。無傷で皇太子を撃退して見せた。それを成さしめたのは……おそらく。
(シルウィー……)
皇太子が、彼女の目の前でお付きの騎士を殺そうとしたことで見せた変化。他者の魔力を吸収し、自らの魔法として放つなど……本来ありえることではない。
人それぞれわずかに異なる魔力の波長を共有できるなら、もっと簡単に魔法学や魔道具は発展させられたはず。血を分けた双子などの近親者同士なら、特例としてまだ分かる。しかし、シルウィーと皇太子に血の繋がりなどあろうはずもない。なぜなら、彼女が受け継いでいるあの黒髪と黒い目は――。
にもかかわらず、かの地の現状はどうか――。
瘴気は続々と取り払われ、そして呪いに蝕まれ死を待つだけだったスレイバートは健在。無傷で皇太子を撃退して見せた。それを成さしめたのは……おそらく。
(シルウィー……)
皇太子が、彼女の目の前でお付きの騎士を殺そうとしたことで見せた変化。他者の魔力を吸収し、自らの魔法として放つなど……本来ありえることではない。
人それぞれわずかに異なる魔力の波長を共有できるなら、もっと簡単に魔法学や魔道具は発展させられたはず。血を分けた双子などの近親者同士なら、特例としてまだ分かる。しかし、シルウィーと皇太子に血の繋がりなどあろうはずもない。なぜなら、彼女が受け継いでいるあの黒髪と黒い目は――。