魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
(マルグリットが……なにかしたと思うのが妥当でしょうね)
あの女が生まれる前のシルウィーに何らかの魔法を施したとするならば、容易く説明がついてしまう。だとしたら……類推の積み上げばかりで気に入らないが、おそらくシルウィーに、呪いは利かない。
(少々、侮り過ぎていたか)
これは、奇しくもヴェロニカにとって憂慮すべき事柄であった。
自身の目的とマルグリットへの復讐を果たす過程で、もはや、情のない父親と周囲に育てられたあのシルウィーはなんの障害にもなるまいと……。ただ自らの無力に苦しみ死んでゆくだけの小娘だと愉悦していた。
だが、蓋を開けてみれば、ヴェロニカが扱う呪いの力では、彼女を殺すことはできない。蛹から蝶への孵化……天敵の出現に苦いものが込み上げてくる。
(でも……それもまた一興。この手で殺せぬなら、他者の殺意を利用すればいい……)
それとて、脅威を感じるほどではない。なにせ人など、この世界にごまんと溢れている。つい最近でも、リュドベルク公の末の子に仕込んだ呪いが芽吹き、あの領地にて惨劇の幕が上がったところだ。
あの女が生まれる前のシルウィーに何らかの魔法を施したとするならば、容易く説明がついてしまう。だとしたら……類推の積み上げばかりで気に入らないが、おそらくシルウィーに、呪いは利かない。
(少々、侮り過ぎていたか)
これは、奇しくもヴェロニカにとって憂慮すべき事柄であった。
自身の目的とマルグリットへの復讐を果たす過程で、もはや、情のない父親と周囲に育てられたあのシルウィーはなんの障害にもなるまいと……。ただ自らの無力に苦しみ死んでゆくだけの小娘だと愉悦していた。
だが、蓋を開けてみれば、ヴェロニカが扱う呪いの力では、彼女を殺すことはできない。蛹から蝶への孵化……天敵の出現に苦いものが込み上げてくる。
(でも……それもまた一興。この手で殺せぬなら、他者の殺意を利用すればいい……)
それとて、脅威を感じるほどではない。なにせ人など、この世界にごまんと溢れている。つい最近でも、リュドベルク公の末の子に仕込んだ呪いが芽吹き、あの領地にて惨劇の幕が上がったところだ。