魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
『調子に乗ってんじゃねぇ! たとえお前が呪いを消せる力を持っていたとしても、あの時とは状況が違う! 公爵が死んじまってんだぞ! 城は魔物の巣窟になっちまって、んなとこで、病弱な娘が生きてられるはずがあるか! んなところにお前なんかが行ったって、なにができる!』
『それは……』

 まったくの正論だ。不透明な状態の中、ろくに戦いもこなせない私が危険地帯に突っ込むのを許して、迷惑を被るのはスレイバート様たちの方なのだ。いくらバカな私だって、彼らがこちらを大切に思ってくれていて、なにかあればひどく悲しみ、後悔することくらいは分かる。

 ……けれど、どうしても。

 ラルフさんの話と、今も大勢の人が魔物や瘴気の脅威に苦しんでいることを聞いて――自分がそれを少しでも取り除ける力があるのなら、ここで大人しく回れ右して帰るなんてこと、できない……!

『お願いします! 少しでもたくさんの人を救うためには、私の瘴気を無効化する能力は必ずどこかで役に立つはずです! 聖女ぶったり、誰かから誉められたいわけじゃなくて、私は……もう誰かに寂しい思いをして欲しくない! 大切な人に手の届かない虚しさを、今までずっと味わってきたから!』
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