魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「へへへ。どうせもう、なにをやろうが無駄なんだろ……」

 気が付いた後、改めてリュドベルク領に起きた事態を知らされたラルフさんはすっかり気力を失い、項垂れたまま暗い笑いを漏らし続けている。

「はは、はははは……もう、こんなくだらねえ国なんざ滅んじまえ」

 そんな投げやりな態度についにスレイバート様が我慢の限界を迎えた。

「うるせぇっつってんだろが!」

 彼はおもむろに立ち上がると座席の後部に詰め寄り、ラルフさんの顔の隣の壁に思い切り蹴りを入れた。大きく馬車が揺らぎ、馬の抗議の(いなな)きが響く。

「スレイバート様、ダメです! 無抵抗の人を傷付けちゃ……」

 びくっと身を竦めたテレサから身を離し、私が背中からしがみつくと、スレイバート様はうっとうしそうにそれを振り解く。
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