魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「離せっ! 俺はこいつが許せねえんだよ……! 考えなしにお前の命をつけ狙いやがった罪は、腹は立つが今は置いておく。だがな……もしリュドベルク家の他の人間がすでに亡いとしたなら、こいつが先頭に立って領地の人間を助けてやらねえでどうすんだ……! なのに、いつまでもうだうだと……命を失くそうとしてるのは、てめえの妹だけじゃねえ!」
「っ……! あんたにオレやカヤみてえなやつの気持ちは一生分かんねえだろうよ! どうせ裕福な公爵家に生まれて、何不自由なく暮らしてきたんだろがっ!」
「こいつっ……」
拳を振り上げたスレイバート様は――ラルフさんの目の前でかろうじてそれを降ろす。
彼だって、大変な幼少期や父親の死を乗り越え、呪いで命を落としかけながらもボースウィン領を守ってきた。だが、彼はそのことに関しては一言も触れずに舌打ちしただけだった。
「ああそうかもしれねーな……。だが、過去のことをぐちぐち掘り返したところで、今なにかが変わんのか? 妹の命を救おうとしてたんだってな。じゃあ、その子が今のてめえの姿を見てなにを思うか、少しは考えてみたか? お前は……その子にとってどんな存在でありたかったんだよ」
「…………」
その言葉を聞いてもラルフさんはまるで反応しなかったように見えた。だが……ほんのわずかに、投げ出した両足の間に置いた拳に、力が入った。
「っ……! あんたにオレやカヤみてえなやつの気持ちは一生分かんねえだろうよ! どうせ裕福な公爵家に生まれて、何不自由なく暮らしてきたんだろがっ!」
「こいつっ……」
拳を振り上げたスレイバート様は――ラルフさんの目の前でかろうじてそれを降ろす。
彼だって、大変な幼少期や父親の死を乗り越え、呪いで命を落としかけながらもボースウィン領を守ってきた。だが、彼はそのことに関しては一言も触れずに舌打ちしただけだった。
「ああそうかもしれねーな……。だが、過去のことをぐちぐち掘り返したところで、今なにかが変わんのか? 妹の命を救おうとしてたんだってな。じゃあ、その子が今のてめえの姿を見てなにを思うか、少しは考えてみたか? お前は……その子にとってどんな存在でありたかったんだよ」
「…………」
その言葉を聞いてもラルフさんはまるで反応しなかったように見えた。だが……ほんのわずかに、投げ出した両足の間に置いた拳に、力が入った。