魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 ある時……会議室で対応について話し合っていたルーファウス公以下重臣たちの元に、恐ろしい報告が舞い込んだのだそうだ。

『ルーファウス様! カ、カヤ様が……』
『なんだ! 会議中だぞ――』

 無礼な行いを咎めようとしたエルハルトさんはそこで息を呑む。明らかに息も絶え絶えといった様子で膝をつき、胸を強く抑えているのは、病弱なカヤの面倒を長年見て来た侍女だった。

『ごほっ……お、お嬢様の部屋から相当に濃度の濃い瘴気が噴き出し……城内の人間が次々と倒れていっています。ど、同時に、正体不明の魔物まで……。は、やく、ごたい……おう、を……』
『お、おいっ! 誰か治癒士を――』
『――キャアアアア!』『――魔物!? どこから入り込んだんだ!』

 城内から叫び声が連続し、臣下たちが混乱する。そんな中、失神した侍女をを助け起こしながら、エルハルトさんは部屋を出た。
 すると、城中のあちこちで何かが暴れる物音や悲鳴、瓦礫の散乱する音が聞こえ始め、とんでもない状態に陥っているのが見てとれた。

 つい先ほどまで、安全が保たれていたはずのこの場所が、どうしてこんなことに……。
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