魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 それは私なりに彼らのことを大切に思ってきたし、目覚めた能力で少しは彼らの領地に貢献できた。
 だからといって、肝心の私自身は……こんな、普通の女だ。美人でも優しくもない。感情的になることもよくあって、それこそ子どものようなわがままで、彼らのことを振り回してしまったりもする。いつも周りに助けてもらってばかりの……お荷物で愚かしい、そんな人間なのに……。

 でも、目の前の彼の瞳は言っている。これが一度関係を結びかけたお情けとか、力を求めての打算なんかじゃなく、自らの心から発した偽らざる想いなんだと。

「お前、まだ自分の容姿や性格がどうとか実家がどうとか、そんなくだらねーことばっか、気にしてんじゃねーだろうな」

 心の奥底から汲み取るようにして、彼はひとつひとつの言葉をゆっくりと言い聞かせてくれる。まるで、大切な贈り物を手渡してくれるかのように。

「そんなんじゃねえんだ。外から見たり、ちょっと話したりしただけじゃわからねーけど……。一緒の時を過ごして、お前が俺たちに……俺たちからもお前になにかしてやれた時のこと、全部合わせて好きだと思った。責任とか、婚約した手前とかさ……余計なことばっか考えて遠回りしちまったけど、でもそんなこともうどだっていい。この先、ずっと隣にいてほしいのは、シルウィー、お前なんだ」
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