魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 その言葉は、いつもなら感謝や賞賛も素直に受け取れず、一旦どこかにおいて疑ってしまう私の気持ちにもすんなりと溶け込んで、優しい……温かい火を灯してくれる。

「あ…………」

 ぽたりと……膝の上に置いた手のひらに雫が落ちる。

 出元をなぞると、目蓋から次から次へと涙が、どうしてか零れていた。
 今までにない色合いの……温かくて、心地よくて、嬉しい涙。

 そっと頭が彼の胸元に抱き寄せられ、背中に堅くて大きく、力強い手が置かれる。

「伝えるのが遅くなったけど、これが俺の本当の気持ちだ。この先も俺はお前のことを、一番近くでずっと守り続けたい。望みがあるなら一緒に悩んで、頑張ってさ。全部叶えて、お前を喜ばせたい。それを……許してくれるか?」

 涙を拭い終えるまで待ってくれると、スレイバート様は私に返答を求めた。薄闇の下でも分かるように、恐れるかのように堅く強張った人形のような顔。
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