魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 それでも、どんな答えが来ても受け入れようと唇を引き結び――意地を張ったようなその姿は、彼をなによりも人らしく見せていて、私は愛おしくて堪らなくなった。

 そして自分の胸に手を当ててしっかりと確認をする。鼓動は激しくも正しいリズムを刻み、今感じている気持ちが嘘ではないと、肯定してくれている。なら、なにも問題はない。

「はい……! これからも、ずっとのあなたの隣にいさせてください!」

 驚くほどすんなりと答えが出た。

 それでもたった今、私の人生においてとてつもなく、大事なことが決まって――襲い来る不安やら、羞恥やらに身もだえしそうになっていたが。

「ははっ……やっと、伝えられた」

 目の前のスレイバート様が、あまりにも幸せそうに破顔して。
 こちらの身体をぎゅっと抱き締めたものだから……余計な感情は全部どこかにいってしまった。
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