魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 後ろで早速私の長い髪に櫛を入れてくれていたテレサにそう伝えると、彼女はしばし考え込んだ後、淡く微笑んで願い事を口にした。

「でしたら……少しだけ話を聞いていただいても、構いませんか?」
「ええ。私なんかでよければ」
「ありがとうございます、お兄様も気の利かないところがありますので……。では、私の口からお話させてください。どうして、このボースウィン領がこのような惨状に見舞われているのか。そして兄が、あのような呪いに侵されることになったのかを……」

 スレイバート様の言動から、私の血筋を重視していること……そしてうっすらとなにかの問題を解決するために私をこちらに呼んだというのは感じている。どうもそのことは、今からされる話と大きく関わっていそうな気がする。

 そういえば、彼は私を迎えに来てくれた時も、血を吐いていた。そして、先日あの瞳から感じた妙な切実さが、どうも気になる。
呪い――その穏やかでない言葉に背筋を粟立たせながらも、私は櫛を動かしながらゆっくりと話し始めるテレサの声に聞き入った。



「私たちの祖先である初代ボースウィン公爵は、氷属性と聖属性、ふたつ強い魔力を持った魔法士でした。その血を引き継いだおかげで、ボースウィン家の者は代々大きな魔力を有し、この厳しい北の大地で民たちを守ってくることができたのです」
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