魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「おーかっこいい。魔力も使えず縛られて無抵抗な人間をいたぶっといて粋がるたぁ、こいつぁ立派な公爵様だぁ! すげーすげー!」
「……死にてえらしいな」

 ラルフさんがぼきぼきっと拳を鳴らし、スレイバート様がぴしりと眉の間に深い皺を刻んで、席を立とうとした。

 なんとなく最初から思っていたけど、このふたり、とんでもなく相性が悪そう。

 ちなみに彼らの話は俗説で、魔法士の性格は扱える魔法に準ずることが多いっていう迷信があるのだ。例えば、火魔法ならば熱血漢でおしゃべり、派手好きだとか、氷魔法使いはクールで冷静な理論派だとか、風魔法士だと穏やかで和を好む優しい気質だとか……そんな話がまことしやかに囁かれている。

 そしてその相性も相克(相争う関係性)にある者たちはとことんいがみ合うとされているよう。私は自分の魔法属性がよく分からないため、スレイバート様との相性が判断できないのは残念なところだが……。

 と、とにかく今は彼らの仲違いを収めなければ――。

「せ、せっかくのご飯が冷めちゃったらご主人のご好意が無駄になりますよ! 私、早く食べ始めたいんですけど!」
「む……お前がそう言うなら」「そりゃそうだな!」
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