魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 深刻な顔をする私の肩を、スレイバート様が叩いて元気付けてくれた。

「心配すんな。その子の身体は弱かったかもしれねーが、大きな魔力を持ってたってことは、瘴気や呪いに対しての耐性も多少はあったってことだろ。呪いを受けて日が浅いなら、生きている可能性は十分にある」
「スレイバート様……」

 すると、隣のラルフさんは鼻の下を得意げに擦った。

「へっ、あんたもたまには良いこというな。そうだ……あいつは身体が弱かったけど、ずっと夢を叶えることを諦めなかった。毎日毎日地道に身体を動かす訓練をして、普通の生活は諦めろっていう医者の宣告を、もう少しで覆そうとしてたんだ。だから、きっとオレなんかより心はずっと強い。絶対に呪いに耐えながら、誰かが来るのを待ってる……」

 ラルフさんはぐっと眉を寄せて、前方を見据えた。その瞳には、必ずカヤさんの元へ辿り着くんだという意思が(みなぎ)っている。

 そうだ……。最悪の事態を予測して、危機に備えることも大事だけど……心構えがしっかりとできたなら、いつまでも怯えてないで、その場から足を踏み出さないと。
< 618 / 1,187 >

この作品をシェア

pagetop