魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「……おい、どこが入り口だ?」
「今見えてんだろ。正面のそこに……あったんだよ! 昔はな」
スレイバート様の言葉に、ラルフさんは奥歯をぎりっと噛んで苛立ちを露にした。変化する前の状態を知っていた彼からすれば、受けた衝撃は私たちの比ではないはずだ。
「ちくしょう、冗談じゃねぇ……! とっとと行くぞ! こんな草、俺の魔法で燃やし尽くしてやる!」
「あっ……!」
眉を吊り上げたラルフさんは怒りに呑まれ、たちまちお城の方へ駆け出してしまった。追おうにも、魔法が使えるようになって日が浅い私には、彼らのように魔力で身体を強化して素早く動くことはできない。
「あのバカ……しっかり掴まってろ」
「……はい!」
見かねたスレイバート様に足元からふわっと掬い上げられ、思わず私は彼の首に手を回した。すると、彼はまるで高山地帯に住む鹿のように、急な傾斜を軽々と飛び降りてゆく。視野の急激な変化に、私は目が回りそうだ。
「今見えてんだろ。正面のそこに……あったんだよ! 昔はな」
スレイバート様の言葉に、ラルフさんは奥歯をぎりっと噛んで苛立ちを露にした。変化する前の状態を知っていた彼からすれば、受けた衝撃は私たちの比ではないはずだ。
「ちくしょう、冗談じゃねぇ……! とっとと行くぞ! こんな草、俺の魔法で燃やし尽くしてやる!」
「あっ……!」
眉を吊り上げたラルフさんは怒りに呑まれ、たちまちお城の方へ駆け出してしまった。追おうにも、魔法が使えるようになって日が浅い私には、彼らのように魔力で身体を強化して素早く動くことはできない。
「あのバカ……しっかり掴まってろ」
「……はい!」
見かねたスレイバート様に足元からふわっと掬い上げられ、思わず私は彼の首に手を回した。すると、彼はまるで高山地帯に住む鹿のように、急な傾斜を軽々と飛び降りてゆく。視野の急激な変化に、私は目が回りそうだ。