魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 もちろん、スレイバートの実力は申し分ない。だが、そんな彼でも、ラルフさんはともかくとして私のような鈍くさい女を守りながら、得体の知れない魔物達と戦わなければならないのは相当のプレッシャーなのだろう。

(……頑張らなきゃ)

 改めて、足手まといにならないよう気を引き締める中……混乱していたラルフさんも危機感を取り戻し、私たち一行をカヤさんのもとへと導くため先導していく。
 悲しくも、ところどころ住民たちの生活の様子が残された本城に続く道を辿り、半開きとなっていた城門の中から内側へ入り込もうとした。
 だが、そうすんなりとはいかせてくれなかったようだ。

「……っ危ねえ! なんだこいつら!」

 いきなり、ラルフさんがその場から飛び退り……その後ぞろぞろと、何者かが出現する。
 ぞろぞろと、人気の途絶えた建物入り口の暗い隙間から湧き出てきたのは……まるで案山子の素材を蔦で代用したかのような、細っこい姿の人形たち。それはまるで命あるかのように、緩慢な動作で足を引きずり、ゆっくりとこちらに近づいてくる。

「これがエルハルトの言ってた魔物らしいな……」
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