魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「なんだ!? やつら、くっつき始めやがったぞ!」

 藁人形が三体ほど、続々とお互いの身体に絡みつくようにして接合し、巨大化していくではないか。
 私たちの背丈を遥かにしのぐ巨人のような魔物が何体も現れ始め、しかも未だに窓からは新しい蔦人形たちが補充されてくる。

「一体ずつじゃ敵わねえと見て、合体しやがったか。どこかで、操ってるやつがいる可能性が高いな……」

 スレイバート様は片目を細めて薄く唇を舐め、いち早く判断を下した。

「これ以上ここに留まってたって、不利になるばかりだ。俺と赤髪の魔法で一気に突破してあの部屋まで雪崩れ込むぞ。その後は……」

 スレイバート様は、両手に一本ずつ氷のサーベルを生み出すと、私の方をちらりと見る。そして心底口惜しそうな顔をしながらラルフさんに言った。

「後続は俺が足止めする。赤髪、お前がシルウィーを連れて部屋の中に入り、呪いをなんとかして妹を助け出して来い」

 その言葉に軽く目を見開くと、ラルフさんはどういう風の吹き回しかと問い返した。
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