魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「い、いいのかよ。俺にシルウィー様を預けちまってよ」
「うるせえ! 雑魚にそんだけ体力を擦り減らしてるてめーじゃ、どう見てもこいつらを抑えらんねえだろうが! 言っとくが、シルウィーにもしなんかあったら覚悟しろ。とっとと地獄に落とされた方が、よっぽど楽だったって目に遭わしてやる」
「わ、わかった。必ず守り抜く。っし――」

 唸るようなスレイバート様の声に慄くも、ラルフさんは両頬を叩いてきっちり気合を入れ直すと、蔦人形たちのひしめく片側の通路を見つめる。

「それじゃ、一気にいくぜ! ららららぁっ!」

 そして、両腕に真紅の火球を生み出すと、素早い拳打を繰り返すような挙動で乱射し、それらが蔦人形たちを爆ぜ飛ばしていく。

「今だ、行け!」

 それに重なるようにスレイバート様が二振りの氷剣で魔物たちを寸断し、あるいは氷魔法でその場に縫い留める。私の身体はラルフさんの肩にぐいっと持ち上げられ、だんと床を蹴る音が響いた。

「乗り心地はよくねえだろうが、我慢してくれよ!」
「――――っ!」
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