魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
『なんで俺がっ……! ちくしょぉ、まだ死にたくねえよ……。なにもできてねえ。ようやく、ここから今までよくしてくれた恩を、俺を認めてくれた領地の皆に返していけるっていう時だったんだ……! なのに、どうしたら……頼むから教えてくれよ、親父っ……!』
いつも、「心配すんな。こんなのなんてことねー」と、自分の前では笑顔を絶やさなかった兄が、人知れず苦しみを吐き出すところをみて……幼かったテレサは扉の裏で、ただ声を押し殺して泣くことしかできなかったという。
「……それからも、私たちボースウィン城の者は、手を尽くしました。兄の呪いを解くことのできる魔法士を見つけようと、帝国中から人を呼んでは落胆する毎日。そしてそのうちに……領地にまで災いが広がりだしてしまったんです」
スレイバート様が倒れるのと同時期、領内では魔物の発生が大きく増えだしたらしく、それと重なるようにして、瘴気の被害に遭う都市が増えていった。
「そしてまるで……兄が原因だとでもいうように、この城の周りにも濃い瘴気が作り出されて。瘴気は普通の人には毒にもなりえますから、多くの人がここを離れざるを得なくなり……そして兄は、ある決断を下しました」
テレサも何度も城を離れるよう勧告されたが、しつこく留まるうちにスレイバート様もなにも言われなくなった。
そしてある日――彼はテレサに一言、「身を固める」と、そう告げたのだという。
いつも、「心配すんな。こんなのなんてことねー」と、自分の前では笑顔を絶やさなかった兄が、人知れず苦しみを吐き出すところをみて……幼かったテレサは扉の裏で、ただ声を押し殺して泣くことしかできなかったという。
「……それからも、私たちボースウィン城の者は、手を尽くしました。兄の呪いを解くことのできる魔法士を見つけようと、帝国中から人を呼んでは落胆する毎日。そしてそのうちに……領地にまで災いが広がりだしてしまったんです」
スレイバート様が倒れるのと同時期、領内では魔物の発生が大きく増えだしたらしく、それと重なるようにして、瘴気の被害に遭う都市が増えていった。
「そしてまるで……兄が原因だとでもいうように、この城の周りにも濃い瘴気が作り出されて。瘴気は普通の人には毒にもなりえますから、多くの人がここを離れざるを得なくなり……そして兄は、ある決断を下しました」
テレサも何度も城を離れるよう勧告されたが、しつこく留まるうちにスレイバート様もなにも言われなくなった。
そしてある日――彼はテレサに一言、「身を固める」と、そう告げたのだという。