魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
持って数年の命……治癒士に宣告された余命が、彼の心を決めさせたのだと、テレサは肩を震わせながら告げた。
「ボースウィン家の血が絶えれば、この寒さと魔物で厳しい生活を送る辺境の民を守れる人間はいなくなってしまう……。次代に命を繋ぎ、この領地の統治を託す。兄にとっては、それが唯一残された命で自分にできることだったんです」
ずっとこの領地を守護してきたボースウィン家の力がなくなれば、魔物や隣国の侵攻でどのような悲劇が領民を襲うか分からない。彼にとっては苦渋の決断で……それは自分の生存の望みを捨てることと同義だった。
前もって準備はしていたのか、選定しておいた強い魔力を持つ娘たちの中から、この領地に来てくれる花嫁を探そうとした。
しかし、強力な魔法士の素養を持ち、かつこんな厳しい土地に好き好んできてくれる女性などなかなか見つからない。魔法士の素質を持つ人間は家にとっても貴重な財産だ。もてる私財をつぎ込むつもりがあったにもかかわらず、話を受けてくれる貴族家は見つからなかった。
だが突如、縁談を望んでいたひとつの家柄から返事があった。それが――ハクスリンゲン家。当主を務める父ゴディアがその話に飛びついたのだ。
「……兄は、藁にも縋る想いでその縁談を結ぶことにしました。そうして、お姉様がこちらに送られることになったんだと、そう聞いています――」
「そうだったの……」
「ボースウィン家の血が絶えれば、この寒さと魔物で厳しい生活を送る辺境の民を守れる人間はいなくなってしまう……。次代に命を繋ぎ、この領地の統治を託す。兄にとっては、それが唯一残された命で自分にできることだったんです」
ずっとこの領地を守護してきたボースウィン家の力がなくなれば、魔物や隣国の侵攻でどのような悲劇が領民を襲うか分からない。彼にとっては苦渋の決断で……それは自分の生存の望みを捨てることと同義だった。
前もって準備はしていたのか、選定しておいた強い魔力を持つ娘たちの中から、この領地に来てくれる花嫁を探そうとした。
しかし、強力な魔法士の素養を持ち、かつこんな厳しい土地に好き好んできてくれる女性などなかなか見つからない。魔法士の素質を持つ人間は家にとっても貴重な財産だ。もてる私財をつぎ込むつもりがあったにもかかわらず、話を受けてくれる貴族家は見つからなかった。
だが突如、縁談を望んでいたひとつの家柄から返事があった。それが――ハクスリンゲン家。当主を務める父ゴディアがその話に飛びついたのだ。
「……兄は、藁にも縋る想いでその縁談を結ぶことにしました。そうして、お姉様がこちらに送られることになったんだと、そう聞いています――」
「そうだったの……」