魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 そういえばラルフさんから聞かされていた。このリュドベルク領にも、大地を守護する精霊が存在しているのだと。ならば――今の声は……。

 そんなことを考えている内に、身体は闇にふわりと浮かび、ある場所へと誘われた。

 その世界で続くのは、一面がささくれた蔓草で覆われた、果てしない茨道。
 地面につくと靴が溶けるように消え、棘が足の裏をひどく傷つけてくる。

(うっ、痛い……)

 一歩歩くごとに、切り裂かれるような痛みが足の裏を刺激し、思わず両肩を抱いてその場に蹲りそうになった。

 それでも私は、その先に繋がる堅牢な樹木の塊へと向かって一歩ずつ進む。足が血の色に染まり、無茶だと非難してくる痛みの感覚信号を無視して、ひたすら前へ。 
 すると同時に、意識の片隅になにかが浮かんでくる。これは……カヤさんの、記憶?

『どうして、私だけこんなに体が弱いんだろう……』
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