魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
微かな、なにかが爆ぜるような音に、私は背中の方を振り向く。
断続的に、数秒に一度くらいの感覚で……しかし確かにそれはだんだんと大きくなって、近付いてきている。
(……来て、くれたの?)
遠くに見えたものに、私は全身の力を緩めて安堵した。それは……真っ赤な火だ。私がやってきた方向を覆っていた蔓草を導火線のようにして、ぱちぱちと温かげな音を立てながら、こちらへと進んでくる。
そして……カヤさんの心と遠ざかり始めた私とすれ違う際に、誰かの髪色を思わせる赤く元気に燃える火は……その意志を確かに伝えてきた。
(ありがとう。後のことは任せてくれ。あいつは、オレの大事な妹だからさ)
揺らぐ火の中に、ラルフさんの明るい笑顔が浮かんだ気がした。それは、穏やかに花の寝床を取り巻くと、ゆっくりと焦がし……カヤさんを呪縛から解き放っていく。
(ごめんな、待たせちまって……)
(お兄ちゃん……なんで? 私のことなんて、放っておいて欲しかったのに……)
断続的に、数秒に一度くらいの感覚で……しかし確かにそれはだんだんと大きくなって、近付いてきている。
(……来て、くれたの?)
遠くに見えたものに、私は全身の力を緩めて安堵した。それは……真っ赤な火だ。私がやってきた方向を覆っていた蔓草を導火線のようにして、ぱちぱちと温かげな音を立てながら、こちらへと進んでくる。
そして……カヤさんの心と遠ざかり始めた私とすれ違う際に、誰かの髪色を思わせる赤く元気に燃える火は……その意志を確かに伝えてきた。
(ありがとう。後のことは任せてくれ。あいつは、オレの大事な妹だからさ)
揺らぐ火の中に、ラルフさんの明るい笑顔が浮かんだ気がした。それは、穏やかに花の寝床を取り巻くと、ゆっくりと焦がし……カヤさんを呪縛から解き放っていく。
(ごめんな、待たせちまって……)
(お兄ちゃん……なんで? 私のことなんて、放っておいて欲しかったのに……)