魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
(確かめないといけない)

 私の内心に、皇太子様との婚約の後釜に収まった彼女を逆恨みする気持ちがないと言い切れない。ありもしない妄想を頭の中にでっち上げてしまっただけ……それならば別にいい。

 単なる勘違いの可能性があるとしても、今後他の領地で次なる事件が引き起こされた時のことを考えたら、この手掛かりを無視してはいられない。

(なんだか、すごく悪いことが起こりそうな、嫌な予感がする……)

 今思えば、私を取り巻いていた不自然な騒動の連続も、何者かの意図が絡んでいるようにも感じられる。ボースウィン領へ送られたこと、今回の暗殺未遂……まさか、私の出生に関してまでもが、すべてヴェロニカの手の内にあったのだとしたら。

(いや、そこまでは疑い過ぎかな……。ヴェロニカは私とそんなに年が変わらないし。お母さんが死んだ時は、まだほんの赤ん坊だったはずだもの。でも……)

 論理的に考えて有り得ないことなのに、どうしても疑惑の霧が晴れてくれない。
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