魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 やはり、スレイバート様に事情を話して、近いうちに王都に赴くべきだ。
 もう一度父に会い、生前の母について――特に亡くなった原因に関して詳しく問い正さないと。そして本当にこのまま彼と(たもと)を分かつのかを、はっきりさせる。このボースウィン領で、後ろ髪引かれずに暮らしていくためにも。

 ヴェロニカが帝国各地に呪いを振りまいている元凶だという確証はまだない。ただ、事実であれば、行動するだけでもなんらかの牽制にはなると思う。ラルフさんにも話を聞いて、意見が一致するようなら、証言に協力してもらって……。

 ――パ――――ッ、パパラパ――ッ!

「わぁっ……!」

 突然の大音響に、集中させていた魔力を乱してしまい、ぼふっと蝋燭の火が一気に燃えた。
 慌てて魔法を解除する合間にも、高らかなラッパの音色が視線を遥か下方へと吸い寄せる。

「あぁっ、帰ってきた!」

 それは部隊の帰還を住民達に知らせる合図。
< 674 / 1,187 >

この作品をシェア

pagetop