魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 兄妹同士でこそこそやり取りした後、せっかくしずしずと令嬢らしく降りてきたテレサが、私に駆け寄るなり大きく飛びついてくる。

「ただいま戻りました、お姉様!」
「お疲れ様、元気そうでよかった。大活躍だったみたいね……エルマ様とはゆっくり話せた?」
「はい、お母様もご実家のことがあるので私ばかりに構ってはいられませんでしたが……一緒の部屋で、久しぶりに眠るまでゆっくり話を聞けました」

 存在を確かめるようにしっかりとこちらを抱き締めた後、テレサは機嫌良さそうに私の腕を抱えた。
 エルマ様のご実家もリュドベルク城の付近だったが、運良く難を逃れ、今はご当主であるお父上の手伝いで近隣の街の援助に走り回っている毎日なのだとか。
 『セイムルークに越してきたと思ったら、またすぐに戻ってこいだなんて、忙しいったらありゃしない――』なんてぼやいていたと……そんなテレサの特徴を捉えた口真似に、私達の間に笑いが広がる。

 その他にも城内への道すがら、色々なことを彼らは報告してくれた。

 結局のところ、半壊したリュドベルク城は放棄されることなく……エルハルト様の指揮の元、着々と再建工事が行われているようだ。瘴気の被害も急速に収まっていて、再訪問の必要もなさそうでほっとする。領地外に避難しようとしていた人々も、噂を聞いて続々と近隣の土地に戻って来ているらしい。
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