魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 初めて彼らに自分で淹れたお茶を振舞おうと思うのだ。

 スレイバート様たちを部屋で待たせてメイドさん達に頼み込むと、快く厨房から茶器とお湯を運んでもらえた。そこでここ最近練習していたテレサから教わったやり方で、心を込めて丁寧に準備をしていく。

 片目になってスプーンで慎重に香りのいい茶葉を掬い取り、さらさらとガラスポットに投入。そこに沸騰したてのお湯を、空気を含ませるように高い位置からゆっくりと注ぎ込むと、ふわふわと茶葉が開いて、何とも言えないいい香りが漂ってくる。
 そうしたら、ティーコジー(保温用の被せ布)でゆっくりと蒸らし、三分ほど。

 素敵な香りにすっかり気持ちが落ち着いたら、濃さを均一にするためにガラスポットのお茶をやさしくひとまぜ。
 お湯で温めておいた陶製のティーポットを取り出し、さっき作ったお茶を早速こちらに移してしまう(せっかくのお茶が渋くならないように)。

 その後くるくる踊る茶葉を眺めながら、ゆっくりとストレーナーで漉し、焦らずに最後の一雫(ゴールデンドロップ)がティーポットの中で波紋を描くのを待てば……完成! 

 手順を間違えていなかったか、どきどきしながらカップにお茶を注ぐ間、私は色々なことを思い浮かべた。
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