魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「美味しい……!」
「ああ、うまい」
(よかった……)

 それを見た私の胸に、温かいものが満ちていく。孤独なままでは決して得られなかったこの幸福を、失わないようにこれからもずっと、守っていきたい。

「ふわぁぁぁ……なんだか、美味しいお茶をいただいたおかげで、眠くって」

 隣のテレサが珍しく人前で口を押さえて欠伸をすると、まるでひなたぼっこをする猫のように私の膝に頭を乗せた。そしてよっぽど疲れていたのか、すやすやと寝息を立て始めてしまう。

「……どうしましょう。お部屋に運んでもらいますか?」
「あ~……。まあ、もう少しだけこのままでいさせてやってくれよ」

 苦笑したスレイバート様は対面の席から立ち上がると、ソファの後ろに回り込んでテレサの寝顔を覗き込む。その表情には、とても優しく、素直な笑顔が浮かんでいて。
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