魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
『いつもごめんね。ずっと私についてくれていなくていいんだよ』――その言葉に隠された意味を、オレはやっと理解できた気がする。オレに自分の夢がないこと――それを妹は、ずっと心配し、解放しようとしてくれていたんだ。

 そして今のオレも……同世代にシルウィー様やスレイバートたちのようなすごいやつらがいることを知って、憧れと悔しさみたいなものを感じずにはいられなくなった、

(今までみたいな自分じゃなく……。あいつらに必要とされるような、もっとまともな人間になってみてえな)

 対等になろうだなんてのはおこがましいかもしれない。でも、なにかあった時あいつらに信頼できる仲間として頼ってもらえるような、少しはましな人間になりたいと思う。

 ようやく、心の中で少しずつ大きくなり始めた自身への願いを――オレは口に出さずにはいられない。

「カヤ……見ててくれ。兄ちゃんも、あの人たちみたいなすげえ人になれるよう、またここから頑張ってみるからさ」

 すると妹の口から、すぐに頼もしい肯定の言葉が返ってきた。

「なれるよ、絶対! ラルフお兄ちゃんは、私の自慢で最高のお兄ちゃんなんだから!」
「……おう!」
< 691 / 1,187 >

この作品をシェア

pagetop