魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「ご、ごめんなさい! な、なんでもないんです! あはは……」
「んー? そうは見えねえけどな」

 ぐいと顔を覗き込まれ、相変わらずの切れ長の瞳の美しさに、どぎまぎとした私は机の上に視線を逃した。さすがにこんな悩みを、これから結ばれようとしているご本人にぶつけるなど、恥ずかしいどころの話じゃない。

「あ、あれですよ! テレサの誕生日プレゼントを何にするか、まだちょっと決めかねていて」

 言い訳に使ってごめんねと思いつつとっさに誤魔化すと、彼は「それにしちゃ深刻そうだったがな」と疑いつつもなんとか納得し、顎を扉の方へ向けた。

「問題ねーだろ。街に出た時に一緒に探しゃいい。よし、準備はできてるみてーだな。今日も綺麗だ」
「あ、ありがとうございます……」

 彼はいつからこんなに自然に私を褒めてくれるようになったのだろう。
 いや、どちらかというと不自然だったのは、最近の態度のほうなのかもしれない。出会った頃の気さくな感じに少し戻って来たような気がする。
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