魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「だからさっき言ったろ。綺麗、美しい、可愛い――。ったく、どういえばその引っ込み事案は矯正してやれるんだか。ほら、見てみろ」
彼は私の肩をぐいと引き、部屋の隅に置かれた姿見に一緒に映るように移動させた。
「いい感じだろ? お前、背が低いから俺と組むとアンバランスになりがちだけど、そこはヒールを高くして髪を上げたりでちゃんと配慮してくれてる。普通に似合いに見えると思うぜ、俺たち」
するとそこには予想よりは大分マシな私の姿があった。美しいとまでは言えないけど……まあなんとか、ギリギリ周りから恋人同士だと認めてもらえそうな。
あからさまにほっとしてしまった私の額を、スレイバート様がこつんと突く。
「お前、自信なさ過ぎな。素材は悪くねえんだから、堂々としてろ。それに俺が好きなのは……どっちかつーと、外見より中身だ」
「――――そっ……うですか」
やや照れた様子はありつつも、さらっとそんなことを言われてしまえば、もうこちらからはなにも反論できない。だらしなく緩む頬を両手で持ち上げ、スキップする心臓が治まるのを待っていると、彼はふっと表情を緩めて軽く肘を突き出した。
彼は私の肩をぐいと引き、部屋の隅に置かれた姿見に一緒に映るように移動させた。
「いい感じだろ? お前、背が低いから俺と組むとアンバランスになりがちだけど、そこはヒールを高くして髪を上げたりでちゃんと配慮してくれてる。普通に似合いに見えると思うぜ、俺たち」
するとそこには予想よりは大分マシな私の姿があった。美しいとまでは言えないけど……まあなんとか、ギリギリ周りから恋人同士だと認めてもらえそうな。
あからさまにほっとしてしまった私の額を、スレイバート様がこつんと突く。
「お前、自信なさ過ぎな。素材は悪くねえんだから、堂々としてろ。それに俺が好きなのは……どっちかつーと、外見より中身だ」
「――――そっ……うですか」
やや照れた様子はありつつも、さらっとそんなことを言われてしまえば、もうこちらからはなにも反論できない。だらしなく緩む頬を両手で持ち上げ、スキップする心臓が治まるのを待っていると、彼はふっと表情を緩めて軽く肘を突き出した。