魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 スレイバート様なら、きっとどんな石を身に着けたってその魅力を限界以上に引き出せるはず。願ってもない提案に、私は心のつかえが取れた気分で色とりどりの宝石を眺め始めた。とたんに興味津々になった私に呆れた彼の顔が、ショーケースの上に一緒に映り込む。

(銀色ってなんにでも合う素敵な色よね。わりと主張が少なく思えるせいかな……。でも、単品でも静かで清潔な魅力があるっていうか。でも……スレイバート様のイメージだと、やっぱり)

 角度によって輝きを変える貴石たちはどれも見る者を飽きさせないが……その内私の視線はひとところへ引き寄せられた。
見つけてしまったのだ――。
 何十もの石たちの中で、この心を惹きつける――私たちふたりの関係を示すと言っても過言ではない、特別なものを……。

「これ……これがいいと思います」「これだろ」

 私は自分の指をつーっとその上へスライドさせた。それを読み取ったかのように、スレイバート様の指先も動いて、ある一点でこちらと衝突する。

「やっぱな。そんな気がしてた」

 彼は満足げな顔で、ふむと頷いてみせた。
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