魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「いけるってさ。ま、元々女の指に嵌めるにはデカすぎたし、丁度いいだろ」
「本当ですか!? よかった……!」

 形を整え直すため、仕上がりは後日となるが、出来上がり次第お城へと運んでくれるという。それを聞いた私は本当に感動してしまって……我を忘れてスレイバート様の懐に飛び込んだ。

「ありがとうございますっ!」
「おっと」
「あっ……す、すみません! はしたなかったですよね」

 すぐに身体を離そうとしたものの、彼の方からも腕を伸ばして抱きすくめられ、それは叶わなかった。綺麗な形をしたその喉が、愛しげな音を紡いでくれる。

「お前のそういう顔が見たかった」

 そうして、例えようのないほど優しい彼の表情が、私を見下ろしながらゆっくりと近づいてきた。なんの抵抗もせず、私はその柔らかいものを頬に受け入れる。
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