魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「これでちょっとは恋人らしくなれたよな、俺たち」
「ぁ……はぁ」
「で、お返しは?」
「えっ!?」

 スレイバート様が自分の頬を指差し、私は周囲に首を振り回したが、さすがに誰も居なくてほっとする。その仕草に彼はくすくすと笑っていたが、「じゃあ、今度はお前から誘えよな」とかなり厄介な宿題を押し付けられ、腕の力が緩められていく。

「……どうした?」

 その途中で、私は腕につい力を籠めていた。今までとは違う、胸が締め付けられるような心細さを感じて。

「……少しだけ、このままでいてもいいですか?」

 どうしても離れがたくて……そのまま彼の身体を引き寄せ、胸に顔を押し付ける。

「……ああ、好きにしろ。もうお前のもんだから」
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