魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
朝着ていった、このローズピンクのドレスも腰の両サイドから華やかなリボン飾りが垂れていてとっても愛らしいが、次に着るヒヤシンスカラーのドレスも、彼女の持つ楚々とした美しさを存分に際立たせてくれることだろう。美人はなにを着たって目の保養――周りの得にしかならない。着せ替え人形にされる本人の労力は別にしても……。
「それじゃあ、お着換え頑張ってね! 私も晴れ姿を楽しみにしてるから!」
「あぁん、お姉様……」
私がいるとやや甘えがちになるテレサを愛しいなぁと思いつつ見送ると、入れ替わるように後ろからカツカツと硬質な革靴の足音が迫ってきた。振り向くと、予想通りスレイバート様が、私の肩に手を掛けるところだった。
「お疲れさん。テレサは中か?」
「ええ、たった今入ったところです」
いつもながら、剣を振る人のものとは信じられないくらい、細長く優美な指。人の手とはなんとも不思議なパーツで、顔に次いで印象が大きく感じるからか、こうやって近づけられると時々自分から触れたくなってしまう。
少しむずっとした私を見て、「どうした?」と軽く目を細めたスレイバート様は、まだ中から私を呼ぶ声がしている更衣室の扉を見返した。
「それじゃあ、お着換え頑張ってね! 私も晴れ姿を楽しみにしてるから!」
「あぁん、お姉様……」
私がいるとやや甘えがちになるテレサを愛しいなぁと思いつつ見送ると、入れ替わるように後ろからカツカツと硬質な革靴の足音が迫ってきた。振り向くと、予想通りスレイバート様が、私の肩に手を掛けるところだった。
「お疲れさん。テレサは中か?」
「ええ、たった今入ったところです」
いつもながら、剣を振る人のものとは信じられないくらい、細長く優美な指。人の手とはなんとも不思議なパーツで、顔に次いで印象が大きく感じるからか、こうやって近づけられると時々自分から触れたくなってしまう。
少しむずっとした私を見て、「どうした?」と軽く目を細めたスレイバート様は、まだ中から私を呼ぶ声がしている更衣室の扉を見返した。