魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 加えて彼女ほどの身分ともなれば、相手の家に嫁ぐのか入り婿を迎えるのかも無視できない問題となりそうだ。家に能力のある人材を招くことを優先するか、それとも、外に嫁ぎ他家との繋がりを太らせるのか。

(どっちにしろ……テレサには素敵な人と結ばれてほしいなぁ)

 姉と自称するには実績の足りない私だけれど、それでも懐いてくれる彼女の幸せを願わずにはいられない。そのためにも、しっかりスレイバート様と仲を深めて、テレサを安心させてあげなければ。もっと自然に、人前で円満アピールを――。

(この調子でできるようになるのかしら……私に)
「っと、こうしちゃいられねえ。お前の客を待たせてんだ。ほら、こっちに来てくれ」
「あっ、ただ今」

 慌ただしく手招きしたスレイバート様に続きながら、私は首を捻った。お客様とはいったいどなたなのか。クリム様のように、彼の古い顔なじみとか……。そういえば彼はさっき、お前のと――

「おう! 久しぶり、シルウィー様!」

 言っていたと思ったところで、廊下に出てすぐにかかったのは、そんなエネルギッシュな挨拶だった。私は小走りでその主へと駆け寄る。
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