魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
救出当時、私はすぐに眠ってしまったため、あまりその姿をじっくりと眺めてはいられなかったのだけど……それでも覚えている。あれは、間違いなく崩れゆく大樹の中から現れ、ラルフさんの腕の中へと帰還した少女だ。控えめな様子だった彼女は、私の前までやってくると解き放たれた呪いの影響を感じさせないはっきりとした笑顔で笑いかけてくれた。
「ありがとう、こんなところまで来てくれて。その身体で遠くまで来るのは大変だったでしょう……」
感極まった私が目の前でしゃがみ込むと、彼女の瞳を薄い涙の膜が覆い始める。
「お兄ちゃんから、おふたりが私を助けるのにすごい危険を乗り越えてくれたって聞いて……ずっと、お礼を言いたかったんです。私……あの時あなたにあんなひどいことを言ったのに……もう一度お兄ちゃんに会わせてくれて、ありがとうって――」
ぷるぷると、膝に置いた手の先が懸命に震えている。でもそれは、中々持ち上がらず……指数本分の空間を動いた時点で力を失おうとした。それでも懸命に保持しようとする彼女の手を、私も下からぐっと掴む。
「こちらこそ。私も今、あなたの姿を見せてもらって……すごく元気がもらえたわ。素敵なお兄さんがいて、羨ましい」
私がそう言うと、ぱっとカヤさんは表情を輝かせた。
「ありがとう、こんなところまで来てくれて。その身体で遠くまで来るのは大変だったでしょう……」
感極まった私が目の前でしゃがみ込むと、彼女の瞳を薄い涙の膜が覆い始める。
「お兄ちゃんから、おふたりが私を助けるのにすごい危険を乗り越えてくれたって聞いて……ずっと、お礼を言いたかったんです。私……あの時あなたにあんなひどいことを言ったのに……もう一度お兄ちゃんに会わせてくれて、ありがとうって――」
ぷるぷると、膝に置いた手の先が懸命に震えている。でもそれは、中々持ち上がらず……指数本分の空間を動いた時点で力を失おうとした。それでも懸命に保持しようとする彼女の手を、私も下からぐっと掴む。
「こちらこそ。私も今、あなたの姿を見せてもらって……すごく元気がもらえたわ。素敵なお兄さんがいて、羨ましい」
私がそう言うと、ぱっとカヤさんは表情を輝かせた。