魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「リュドベルク公爵令嬢! 一言断らせていただきますけど、シルウィーお姉様の妹は私だけですから!」

 突然の宣言。一瞬の空白。誰もが放心……。
 まさかテレサが、こんな子どもじみた行動を取ってしまうなんて――。

 しかも、その流れで予想だにしないことに……真っ先にカヤさんが口を開いた。

「……あら~、ボースウィン公爵令嬢。お初にお目にかかれて光栄ですけど……そんなにお行儀の悪いことでは、自慢のお姉様も愛想を尽かしてしまうんじゃないかしら? そうしたら、ボースウィン領から、リュドベルク領にお引越ししてもらおうかな~。ね、シルウィーさん、ここよりきっと向こうの方が暮らしやすいよ!」

「なんですって、ボースウィン領を愚弄するの!?」
「へ? へ?」

 売られた喧嘩を即決でお買い上げしたカヤさんと、テレサの間でたちまち視線がばちっとスパーク。慌てた私が手を広げて遮りつつ、助けを求めるようにさりげなく背後に立っていたお兄さん方に視線をやると、まるで示し合わせたようにふたりは言う。

「「こいつら気が合いそうだな」」
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