魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
隣のスレイバート様が、お友達から笑顔で渡されたプレゼントを覗き込むテレサの姿に目を細める。
「まあ、これが誕生日ってやつのスタンダードかって言われれば、大げさな気もするけどな。とかく家族や身近な人が生まれたことを祝い、飯を食ったりプレゼントを贈ったり、一緒に居られることを喜び合う、それが誕生日ってやつだ。これでもう、次からは大手を振って知ってますって言えるだろ?」
「ええ……!」
私は元気よく頷く。孤独だった昔までなら、生まれたことのなにがおめでたいのかと疑問に思うだけだったけど、今は分かる。
周りにいる大切な人と、明日からも元気にまた過ごしていける。それは間違いなく、私たちにとって類稀なる幸運で、もっともありがたいこと。だからこうして特別な日を作り、この世に生まれたことをお祝いするのだ。誰もが一日限りの主人公として、ここまで人生を歩んで来れたことを褒めてもらう。そして……また来年の今日に辿り着くまで、たくさんの素敵な出来事が訪れるのを期待する。
「待ち遠しいな、俺らの誕生日も」
「ええ。想像するだけでどきどきしてきました……!」
今年の私たちの誕生日はもう過ぎてしまったけれど……来年はスレイバート様たちに祝ったり祝われたりできるのだ。そしてもしかしたらこの先に、まだまだたくさんの新しい出会いが生まれてゆくのだと思うと、夢が膨らむ。
「まあ、これが誕生日ってやつのスタンダードかって言われれば、大げさな気もするけどな。とかく家族や身近な人が生まれたことを祝い、飯を食ったりプレゼントを贈ったり、一緒に居られることを喜び合う、それが誕生日ってやつだ。これでもう、次からは大手を振って知ってますって言えるだろ?」
「ええ……!」
私は元気よく頷く。孤独だった昔までなら、生まれたことのなにがおめでたいのかと疑問に思うだけだったけど、今は分かる。
周りにいる大切な人と、明日からも元気にまた過ごしていける。それは間違いなく、私たちにとって類稀なる幸運で、もっともありがたいこと。だからこうして特別な日を作り、この世に生まれたことをお祝いするのだ。誰もが一日限りの主人公として、ここまで人生を歩んで来れたことを褒めてもらう。そして……また来年の今日に辿り着くまで、たくさんの素敵な出来事が訪れるのを期待する。
「待ち遠しいな、俺らの誕生日も」
「ええ。想像するだけでどきどきしてきました……!」
今年の私たちの誕生日はもう過ぎてしまったけれど……来年はスレイバート様たちに祝ったり祝われたりできるのだ。そしてもしかしたらこの先に、まだまだたくさんの新しい出会いが生まれてゆくのだと思うと、夢が膨らむ。