魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
唸るふたりを私とカヤさんで同時に制すと、彼らは「「ふん!」」とお互い鼻息荒く引き下がった。時折はらはらさせるが、本気でいざこざを起こそうという気は今のところないようで、彼らは大人しく列の最後尾に並び出す。どうも馬が合わないようだが、でもスレイバート様に面と向かってこれだけ言える人も珍しい。いずれ良い友人同士になってくれたらと期待してしまう。
カヤさんと、どんな食べ物が好きかとか話している内に、テレサの前に続いていた列からも少しずつ人が捌けて行った。ほんの数十分の間にテレサの背丈を越えるほどに積まれた贈り物の山は壮観だけれど、今日は私たちも彼女のために用意したお土産を綺麗にラッピングして携えている。これで喜んでもらえるなら、私も色々と思い悩んだかいがあったというものだけれど……。
その量に圧倒されていたカヤさんが私にぽつりと言った。
「テレサさんって、実はすごい方だったんですね。あんなにもたくさんの人から愛されていて……。ごめんなさい。実は私ずっと病気で部屋にいたから、年の近い子と話したり遊んだりしたこと、あんまりなくって。だからお兄ちゃん以外の人とどんな風に接したらいいのか、よく分かってないんです」
だからつい、あんな喧嘩腰で返してしまったんだと、カヤさんは恥じ入るかのように苦笑いした。彼女の気持ちは少し分かる。私も周囲と隔離された環境をいいことに、ここに来るまでは誰かとあえて仲良くしようだなんて思わなかった。相手側の拒絶もあったにしろ、それに自分の立場からの甘えが含まれていないと、どうして言えるだろう。
カヤさんと、どんな食べ物が好きかとか話している内に、テレサの前に続いていた列からも少しずつ人が捌けて行った。ほんの数十分の間にテレサの背丈を越えるほどに積まれた贈り物の山は壮観だけれど、今日は私たちも彼女のために用意したお土産を綺麗にラッピングして携えている。これで喜んでもらえるなら、私も色々と思い悩んだかいがあったというものだけれど……。
その量に圧倒されていたカヤさんが私にぽつりと言った。
「テレサさんって、実はすごい方だったんですね。あんなにもたくさんの人から愛されていて……。ごめんなさい。実は私ずっと病気で部屋にいたから、年の近い子と話したり遊んだりしたこと、あんまりなくって。だからお兄ちゃん以外の人とどんな風に接したらいいのか、よく分かってないんです」
だからつい、あんな喧嘩腰で返してしまったんだと、カヤさんは恥じ入るかのように苦笑いした。彼女の気持ちは少し分かる。私も周囲と隔離された環境をいいことに、ここに来るまでは誰かとあえて仲良くしようだなんて思わなかった。相手側の拒絶もあったにしろ、それに自分の立場からの甘えが含まれていないと、どうして言えるだろう。