魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 参列者たちがそれぞれ、ふたりの少女の和解劇に温かい目を向ける中、一向に溝が埋まりそうにない困ったお兄ちゃんたち。彼らがいがみ合う合間に、私も用意した誕生日プレゼントを差し出した。

「はい。テレサ、よかったら受け取って! スレイバート様と一緒に選んだの」
「おふたりからですか! なにかしら、ここで開けても?」

 純粋な好奇心でこちらを見上げてくるテレサに、「確かめてみな」とスレイバート様が苦笑すると、彼女は細い指で丁寧に包み紙を解いてゆく。そして漏れたのは、感嘆の溜め息だ。

「わぁ…………なんて綺麗な細工。糸が幾重にも重なって、見たことのない模様……」
「異国のお嬢さんたちの遊び道具で、『手毬』っていうんですって。可愛いテレサにはぴったりだと思ったの」
「……なんだか、不思議な香りがします……」

 テレサは、取り出した球体を両手でくるくると回すと、感触を確かめるように何度も撫でさすり、頬を寄せた。その顔に、ぽろぽろと綺麗な涙の雫が伝い始め――彼女は毬を胸に抱きしめたまま、額をこちらの胸にぶつけてきた。

「ありがとうございます……。やっぱりふたりとも、最高の家族ですっ!」
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