魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 すべての人が仲良くなれるわけじゃない。でもやっぱり、裏切りや痛みを恐れて伸ばされた手をずっと拒んでいたら、幸せになることは難しい。時には、覚悟して新しい場所に踏み込んで行かなければならない時もある。だって私たちは……他の誰かと出会うために、この世界に生まれて来たんだから。

 ずいぶん遅くなったけれど……今、私はそれを知れたんだ。
 私はそのことを教えてくれた、新しい家族の手をぎゅっと握ると、にっこりと笑った。

「テレサ、本当にお誕生日おめでとう! これからもずっと側にいてね!」
「はい、いつまでも!」

 すると――そっくりの笑みが、テレサからも返ってきた。
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