魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 つい先日、私たちに行き先も告げず旅立ってしまったのだ――。



 最近、私たちはボースウィン城の外にある小庭園にて、よくみんなでお茶会をしている。
 ここはかつて、クラウスさんから幼少期スレイバート様たちが遊び場にしていた聞かされたところで、日差しがよく当たり、ゆったりするのにとても適している。

 自然とよく接する人は回復が速いと聞くし、カヤさんの体調にも良い影響があればと、そこでテーブルを囲みつつ、私とテレサはラルフさんからリュドベルク領についての話を聞いていた。

「あっちはここいらと違って割と温暖だからさ。冬場は割と過ごしやすい反面、夏場はきついんだよな。城内のいくつかの部屋は、氷の風が吹き出る高級な魔道具を使って冷えるようにしてんだけど、でも親父があんまりそういうの好きじゃなくって。孤児院でのオレですら汗だくだっつうのに、『気の持ちようだ』なんつって甲冑着込んで平然としてやがったんだからたまんねえの。皆あんたみてえな鉄面皮じゃねえんだって何度文句言ったか」
「まあでも、おかげで城の学者さんが率先して涼しくて着心地のいい生地を研究してくれて。これがそうなんです。私も着て来たけれど、こっちの気候じゃ今でもちょっと冷えるくらい」
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