魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 私はぎゅうっと想いではちきれそうになる胸を押さえた。やっと……自覚できた。

(いつの間にか……私は彼に恋を、してたんだ)

 自分の気持ちが認められて、すっと気持ちが楽になった気がする。。これで……これからは自信を持ってスレイバート様の隣にいられる。

 でも、せっかくそう思えても……――。

「…………どうしたら、いいんでしょう」

 今ここに、スレイバート様はいない。

 どうすればいいかなんて、分かりきってる。このまま後数日間、はたまた数週間に及ぼうとも、黙って彼の帰りを待てばいい。そして、気になるのならちゃんと尋ねればいい……。

 あるいは、彼を信じ抜けるのなら――胸の中に押し込んでなかったことにすればいい。

 こんなにも簡単に答えは出ている――なのに、わざわざ誰ともなく問いかけてみたのは、私の気持ちがそれを選びたくないと感じているから。
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