魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 この上なく滑らかなその肌から私が指を外すと、彼はからからと虚しい笑いを響かせる。それを見て、彼を傷付けてしまったのかもしれないと、私は頭を下げた。

「ごめんなさい。変だとか、気持ち悪いとかそういうことを思ってたわけじゃないんです……。ただ、呪いで今も辛いんじゃないかなって」

 すると、彼は尖っていた目付きをやや緩めてこちらを見た。

「そりゃあ……まあな。でも、だからって一日中ベッドに寝転がってたってなんにもならねえだろ。動けるうちは、動かねーとな……」

 彼は後ろに手をついて曇り空をぼんやりと見上げると、私にぼそっと言った。

「お前こそ……せっかくあの女の血を継いだのに、魔力がなくなったり魔法が使えなかったり、面倒くせーことになってんのな。ふん……マルグリットのやつが生きてたら、どうにかしてくれたかもしれねーのに……」
「いいえ。私の方は、いたって健康ですし……」

 彼なりに気を遣ってくれたことをありがたく思い、私は首を横に振った。
< 77 / 1,187 >

この作品をシェア

pagetop