魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
だから今は、目の前で示してくれたラルフさんの強さをちょっとだけ借りて……心の赴くまま、いつもと違う自分勝手な約束破りに挑戦してみよう。
頭の後ろで腕を組んだラルフさんが朗らかに言った。
「カヤのことは、テレサ嬢が面倒見てくれんだろ。ゲルシュトナー領かぁ……正直、行ったことねえけど、将来妹を連れてくときの下見には丁度いいしな。風光明媚なとこだっつーし、お互い、たまにゃ誰も知り合いのいねーところで羽を伸ばすとすっか!」
「はい……! それじゃ道中、よろしくお願いします!」
「任せときな!」
こうして、私たちはスレイバート様を追い……ボースウィン領から帝国四大領地のひとつ、東部ゲルシュトナー領へと赴くことになった。
――それが、またしても帝国を揺るがそうとしている大事件と繋がってこようとは、思いもしないままに……。
頭の後ろで腕を組んだラルフさんが朗らかに言った。
「カヤのことは、テレサ嬢が面倒見てくれんだろ。ゲルシュトナー領かぁ……正直、行ったことねえけど、将来妹を連れてくときの下見には丁度いいしな。風光明媚なとこだっつーし、お互い、たまにゃ誰も知り合いのいねーところで羽を伸ばすとすっか!」
「はい……! それじゃ道中、よろしくお願いします!」
「任せときな!」
こうして、私たちはスレイバート様を追い……ボースウィン領から帝国四大領地のひとつ、東部ゲルシュトナー領へと赴くことになった。
――それが、またしても帝国を揺るがそうとしている大事件と繋がってこようとは、思いもしないままに……。