魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 生まれつき、魔法を操る才能を損ない生まれてきた、哀れな娘であったはずだ。しかしそれが……ここへきて自らの天敵にまで成り上がってくるなど、想像だにしていなかった。

 魔力では……呪いの力では、あの娘は殺せない!

「でも、今の私はもう、あの時の私とは違う……。お遊びは、ここで終わりよ」

 煮え滾る怒りを外に出し、頭を冷やしたヴェロニカは、ようやく事実を受け入れると、再度帝国滅亡計画の見直しに目を向けていく。

 シルウィーのせいで、ヴェロニカが集めていた闇の魔力の収集先は大きく失われた。だが呪いの力自体が失われたわけではない。彼女さえ殺せば、再び蓄積した呪いの力は大地へとばら撒かれるはず。そうなってしまえば、ヴェロニカの宿願が果たされるのに、時間はかからない。

 あの娘の殺害にはなんらかの抵抗が予想されるところだが、彼女自体は魔力を吸う力さえ気を付ければ、ただの小娘。加えて、よく効きそうな道具もひとつ手に入れてある。それを使えば、おびき寄せ、命を奪うことも容易だろう。

 ただひとつ厄介なのは、やはりシルウィーの側を離れようとしないスレイバート・ボースウィンの存在か。
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