魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「……まぁ、最初からてめえにはなんの期待もしちゃいなかったが、こいつがここまで来ちまったなら隠し立てしても仕方ねえ。どうせこのまま、『はいそうですか』つってて大人しく帰るつもりもねーんだろうし、説明してやるよ」
『――ねーちゃ、このひとたちだれ?』
『ばーちゃのおともだち?』
「ダメよ、大事なお客様だから。失礼のないように向こうで遊んでようね」

 孤児院の子どもが食堂のドアから顔を出したので、フィリアさんが「お茶のお代わりを淹れてきます」と気を遣って出てゆく。
 そして――。

「クラウスから、報告があったんだよ。調べさせていたマルグリットの身辺について、分かったことがある、ってな」

 その後スレイバート様はひどく面倒そうに、私に詳細を伝えずこのゲルシュトナー領に向かうことになったいきさつを話し出した。

 聞けば、こちらがボースウィン領を訪れてからずっと……もし私が貴族籍を失った後で結婚する時に有利になるかもしれないからと、彼らは私の母方の出自を調べてくれていたらしい。

 そしてある日、クラウスさんが国中に放っていた調査の手から、ひとつの人物が浮かび上がった。それが……件のメレーナさん。なんと彼女は、母マルグリットの幼少時代に共に暮らしていた人物だというのだ。
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