魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
10.母の足跡 -smoky-
それから私たちは三日間ほど、メレーナさんの住まい兼孤児院(元教会)に留まることになった。というのも、元々、彼女がそれを含むいくつかの条件をスレイバート様に突きつけていたためだ。
――ひとつは、数日間こちらに留まり、院内の仕事を手伝うこと。
――そしてもうひとつは、多額のお金を……将来、子どもたちが自立するために必要な資金として、援助してもらうこと。
そのふたつの他に、珍しい魔道具の素材を求められたとスレイバート様はぼやいていたが、その詳細については口にしなかった。
そして、出会ったその日孤児院に泊めてくれると、翌日彼女は私だけを自分の仕事場へと連れ出していった。
【エルプセン魔法用品店】、というのがその名前で、小さな店構えだがずいぶんと年季が入っており、あちらこちらに補修跡が目立つ。店内に入ると、木材とお香の入り混じったような、いい香りがした。
「まあ、特殊な店だから客はぽつぽつしか来ないし、いつも通り相手はあたしがするよ。あんたには裏で作業でもしておいてもらおうか」
「は……はあ」
母マルグリットの育ての親だというし、この人は私にとっては祖母という扱いになるのか……。と、いうかそもそも、母はどこでどうして生まれ、この人の元に……?
――ひとつは、数日間こちらに留まり、院内の仕事を手伝うこと。
――そしてもうひとつは、多額のお金を……将来、子どもたちが自立するために必要な資金として、援助してもらうこと。
そのふたつの他に、珍しい魔道具の素材を求められたとスレイバート様はぼやいていたが、その詳細については口にしなかった。
そして、出会ったその日孤児院に泊めてくれると、翌日彼女は私だけを自分の仕事場へと連れ出していった。
【エルプセン魔法用品店】、というのがその名前で、小さな店構えだがずいぶんと年季が入っており、あちらこちらに補修跡が目立つ。店内に入ると、木材とお香の入り混じったような、いい香りがした。
「まあ、特殊な店だから客はぽつぽつしか来ないし、いつも通り相手はあたしがするよ。あんたには裏で作業でもしておいてもらおうか」
「は……はあ」
母マルグリットの育ての親だというし、この人は私にとっては祖母という扱いになるのか……。と、いうかそもそも、母はどこでどうして生まれ、この人の元に……?