魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
私も会話が得意な方ではないし、とりあえず、言われた通りに彼女に付いてゆき、指示を待つ。作業場には、魔女という名にふさわしく、たくさんの乾燥した薬草や調合器具、得体の知れない素材入りの瓶で溢れかえっている。
スレイバート様にはあの後、「お前が残るのなら、メレーナからどう話を聞くのかはお前に任せる」と言われた。
そうなると、まず一番に聞かなければならないのは、母がどこで生まれたのか。そして、ここで彼女と一緒にどんな暮らしを送ってきたのだが……。
(ちょっと聞きづらいな。どうしてお母さんが、周りの人たちにここから来たことを隠していたのかも、分からないし……)
根掘り葉掘り聞きだしてしまいたい気持ちはある。けれど、たとえ娘だとは言え、人の事情にどれだけ首を突っ込んでしまっていいものか。それに今はお仕事中だ。なるべく迷惑はかけないよう、話のきっかけが掴めるまで少し待とうと思う。一緒に仕事をしていれば、その内打ち解けて自然とそういう流れになるかもしれないという期待もあった。
メレーナさんは、「少し煙たくするよ。害はない草だから」とひとつ断ると、細いキセルに火を付け、口に咥えた。仕事を行う前の毎日のルーティーンのようなものだろうか。それが終わるとコツリと灰皿に当ててキセルを片付け、手際よく作業に取り掛かっていく……。
フィリアさんの話によれば――彼女は三十年近くも前からお店を経営する傍ら、お金がなかったり、親が死んで生きて行けなくなった子どもたちなんかを拾って、育て上げているのだという。
スレイバート様にはあの後、「お前が残るのなら、メレーナからどう話を聞くのかはお前に任せる」と言われた。
そうなると、まず一番に聞かなければならないのは、母がどこで生まれたのか。そして、ここで彼女と一緒にどんな暮らしを送ってきたのだが……。
(ちょっと聞きづらいな。どうしてお母さんが、周りの人たちにここから来たことを隠していたのかも、分からないし……)
根掘り葉掘り聞きだしてしまいたい気持ちはある。けれど、たとえ娘だとは言え、人の事情にどれだけ首を突っ込んでしまっていいものか。それに今はお仕事中だ。なるべく迷惑はかけないよう、話のきっかけが掴めるまで少し待とうと思う。一緒に仕事をしていれば、その内打ち解けて自然とそういう流れになるかもしれないという期待もあった。
メレーナさんは、「少し煙たくするよ。害はない草だから」とひとつ断ると、細いキセルに火を付け、口に咥えた。仕事を行う前の毎日のルーティーンのようなものだろうか。それが終わるとコツリと灰皿に当ててキセルを片付け、手際よく作業に取り掛かっていく……。
フィリアさんの話によれば――彼女は三十年近くも前からお店を経営する傍ら、お金がなかったり、親が死んで生きて行けなくなった子どもたちなんかを拾って、育て上げているのだという。