魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 巣立った子どもたちの支援などや、フィリアさんのように運営を手伝ってくれる人もいて、日々なにくれとトラブルは起きながらも順調に孤児院は営まれているようだ。
 朝食を取った後、彼女は年長の子どもたちとフィリアさんにいくつかの頼みごとをしてから、スレイバート様とラルフさんに仕事を言い付けた。

「丁度男手が欲しかったところなんだ。スレイバート、あんたは倉庫にある木材で、孤児院の痛んでるところを補修しときな。そっちの赤髪の坊ちゃんは、フィリアと一緒に、森に行って薬の素材を取って来るんだ。いいね?」
「え? オレは……」
「い・い・ね?」

 メレーナさんはそんな肝の据わった女性特有の威圧感で彼らをきっちり制圧すると、さっさと私を連れて孤児院を出る用意をし始めてしまう。

「……逆らっても無駄だ。大人しくし従っとけ」「わ、わーったよ」

 スレイバート様はすぐに無言で背中を翻し、ラルフさんも意外そうにしながら、フィリアさんに付いてどこかへ行ってしまった。
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