魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
『これで、当面の生活はどうにかなりそうだね。ふふっ、この場所は誰にも知られないようにしなくちゃ』
貴重品の入手を誰かに知られれば、トラブルの元になりかねない。手早く欲張らず、袋の中に十数本の耀魔花を回収すると、メレーナさんはその場所を立ち上がる。
可能ならば、店の裏庭でも育てたいが、この花は特定の環境下でないと育たない。無理にそんなことを試すよりも、大地に任せた方がよほどうまくいくだろう。
『鼻の利く獣や猟師なんかに見つかったら最悪だし、結界でも貼っとこうかね』
花畑の四方の角にひとつずつ魔石を置き、一帯を囲うようにして他者の認識を阻害する結界魔法を貼っておいた。これでよほど強い探知の魔法でも使わない限り、ひと月は誰もここに迷い込んでこないはず。
魔女にとって時には一生の財産ともなる薬草の生息地情報を地図に書き加え、満面の笑顔で去って行こうとしたメレーナさん背後で、その時物音がした。
視界の隅に、がさがさと揺れる茂みが映る。
『なんだ……? 魔物か……?』
貴重品の入手を誰かに知られれば、トラブルの元になりかねない。手早く欲張らず、袋の中に十数本の耀魔花を回収すると、メレーナさんはその場所を立ち上がる。
可能ならば、店の裏庭でも育てたいが、この花は特定の環境下でないと育たない。無理にそんなことを試すよりも、大地に任せた方がよほどうまくいくだろう。
『鼻の利く獣や猟師なんかに見つかったら最悪だし、結界でも貼っとこうかね』
花畑の四方の角にひとつずつ魔石を置き、一帯を囲うようにして他者の認識を阻害する結界魔法を貼っておいた。これでよほど強い探知の魔法でも使わない限り、ひと月は誰もここに迷い込んでこないはず。
魔女にとって時には一生の財産ともなる薬草の生息地情報を地図に書き加え、満面の笑顔で去って行こうとしたメレーナさん背後で、その時物音がした。
視界の隅に、がさがさと揺れる茂みが映る。
『なんだ……? 魔物か……?』