魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
(捨て子ってことか? いやしかし……昨日今日捨てられたっていう雰囲気でもない。この子、こんな危険な森の奥で、どうやって生きて来たんだ……?)

 少女がとてとてと寄ってきて、メレーナさんのロングスカートを物珍しそうに掴んだ。

『だぅ~……?』
(こいつ……!?)

 ぺちぺちと太ももを楽しそうに叩いてくる少女に、メレーナさんの背中から大量の冷や汗が噴き出す。直接触れたことで感じた。この娘……規格外の魔力の持ち主だ。

 それは、メレーナさんが足元にも及ばないほど強力なもの。おそらく王都の軍に所属する有名な魔法士たちにも引けは取らない……その量は彼女が今まで出会った魔法士の中で、一二を争うほど膨大なものだった。確かにこれだけの魔力があれば、たとえ拙い魔法であろうとそこらの魔物では相手になるまい。

 少女はそんなメレーナさんの動揺を露知らず、純真な瞳で見上げてくると、ドレスを勢いよく引っ張った。短い指が林の奥を指差す。
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